今回は、「輸出された日本産農林水産物・食品の各国・地域における水際検査結果」の情報共有です。
農林水産省輸出・国際局規制対策グループより、主な輸出先国・地域で最近公表された水際検査結果等のお知らせがございましたので情報共有いたします。
・・・・・【以下農林水産省からのメール】・・・・・・・・・・・・・
昨今の日本産農林水産物・食品(以下「日本産食品」といいます。)の輸出の増加に伴い、輸出先の水際検査において残留農薬や食品添加物の基準不適合並びに証明書の不備等を理由に通関できない事案が見られます。輸出先の安全規則に適合した食品を輸出することは最も重要な基本原則ですので、輸出の際は御注意くださいますようお願いいたします。
ALPS処理水の海洋放出を受けて、中国・香港・マカオ・ロシアが規制を強化しております。
https://www.maff.go.jp/j/export/e-shorisui/kaiyou_houshutsu.html
1.中国(日本産食品の違反件数27件、2024年4月)
・日本産食品の違反件数は全278件中27件(参考:3月は全250件中11件)で、国・地域別で違反件数が多かったのは上位からエクアドル(54件)、日本(27件)、オーストラリア(20件)。
・日本の違反27件のうち、上海税関におけるものが22件で最多。
・公表されている不合格理由は、飲料・菓子類の「貨物証明書の不一致」が19件で最多。次いで酒類等の「要求に従った証明書又は合格証明書類の未提出」が5件。
≪注意≫
・中国では、10都県(福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、長野、新潟)から輸出されるすべての食品・飼料等(新潟県産精米を除く)について、輸入停止措置が講じられています(10都県以外については農水省HPを参照)。
https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/attach/pdf/china_shoumei-9.pdf
・上記10都県以外で製造された製品であっても、10都県を経由したことを理由として、中国税関において輸入不可とされた事案が発生しています。
https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/attach/pdf/china_shoumei-11.pdf
・中国の輸入食品海外製造企業登録管理システム(国際貿易シングルウィンドウ)に登録されている製造者等の名称、住所等の情報と、産地証明書記載内容が正確に一致していないとして通関が認められない事例が発生しています。
証明書申請の際は、登録された情報と正確に一致していることを十分にご確認ください。
・中国各地で日本からの輸入食品の通関手続きが厳格化され、通関の遅れや差し止め事案が発生しています。各輸出業者におかれては、中国側の輸入業者と十分に連絡をとり、適切に対応するようにしてください。
2.台湾(日本産食品の違反件数7件、2024年4月)
・公表された79件の違反のうち、日本産食品の違反件数は14件(この他、容器具の基準違反3件)。内訳は、残留農薬基準超過9件(キンカン1件(フルベンディアミド)、いちご1件(フロニカミド)、みかん2件(いずれもフェントエート)、キウイ1件(クロチアニジン及びシペルメトリン)、ブラッドオレンジ1件(フェンヘキサミド)、白ネギ1件(アミスルブロム及びニテンピラム)、メロン2件(ピリフルキナゾン、ニテンピラム)。重金属基準違反4件(カサゴ1件(メチル水銀)、イカ1件(カドミウム)、ホタルイカ2件(いずれもカドミウム))。食品添加物基準違反1件(醤油1件(チアミンラウリル硫酸塩))。
・台湾向け青果物について、残留農薬基準超過が続いています。輸出に取り組む事業者の皆様におかれては、台湾の残留農薬基準の確認・順守をお願いいたします。
(農水省HP:残留農薬基準値に関する情報)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/zannou_kisei.html
・台湾の残留農薬基準に係る規則が改正され、2024年4月1日付で施行されています。改正後の規定については、下記HPをご確認ください。
(見直しの例)
・いちご/フロニカミド 0.01→0.7 ppm(日本は2 ppm)
・いちご/クロルフェナピル 0.01→0.5 ppm(日本は5 ppm)
(台湾衛生福利部HP)
https://www.fda.gov.tw/tc/newsContent.aspx?cid=3&id=30473
・台湾向け輸出貝類の衛生証明書の発行方法が、2024年6月1日発行分より、紙発行から電子発行に切り替わります。証明書原本をシステムからダウンロードすることとなるため、申請者は紙媒体での受取が不要となります。電子発行への切替にあたり、申請方法等に一部変更が生じますので、具体的な手順は、下記HPをご確認ください。
(農林水産省HP)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/i-4/attach/pdf/yusyutu_shinsei_asia-533.pdf
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hq/i-4/yusyutu_shinsei_asia.html#taiwan
・台湾の「食品中の汚染物質及び毒素に関する衛生基準」が改正され、2024年7月1日から乳幼児用食品中の鉛及びカドミウムの基準値が追加されます。改正後の規定については、下記HPをご確認ください。
(台湾衛生福利部HP)
https://www.fda.gov.tw/TC/newsContent.aspx?cid=3&id=30461
3.香港(日本産食品の違反件数なし、2024年5月1日~5月31日)
・同期間において、公表された違反はなし。
≪注意≫
・2023年8月24日以降、10都県(福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、長野及び新潟)で水揚げ、製造、加工、包装された水産物(生きている、冷凍、冷蔵、乾燥、またはその他の方法で保存されたすべての水産物)、海塩、海藻(加工品を含む)について、輸入停止となっています。
https://www.maff.go.jp/j/export/e_info/attach/pdf/hukushima_kakukokukensa-61.pdf
・ALPS処理水の放出に伴う規制が講じられる以前より、香港では、茨城・栃木・群馬・千葉の各県産の野菜や果物等の輸入に当たっては、放射性物質検査証明及び輸出事業者証明の添付を、福島・茨城・栃木・群馬・千葉の各県産の食肉及び家禽卵の輸入に当たっては放射性物質検査証明の添付を求められています。また、福島県産の野菜や果物等については、引き続き輸入停止となっています。
・輸入停止品の輸出や必要な書類の不備により、香港税関において輸入不可とされた事案が発生しておりますので、各輸出業者におかれては、香港側の輸入業者と十分に連絡をとり、適切に対応するようにしてください。
4.韓国(日本産食品の違反件数1件、2024年4月)
・加工食品(介護用食品)(タンパク質について、表示規格不適合1件)
5.米国(日本産食品の違反件数15件、2024年5月公表分)
・公表された日本産食品の違反は15件。内訳は、規格不合格品14件(魚:不衛生品12件、ソース付大根:許容されていない着色料含有2件)、不適切表示1件(栄養補助食品:栄養補助食品である旨の表示漏れ)。
本レポートは、参照用として、輸出先当局の公表情報を仮訳し取りまとめたものであるため、最終的な内容の確認はその原文において行われるようお願いします。なお、本仮訳が原文と相違する場合は、全て原文が優先します。
(参考:農水省HP)
・輸出先当局による水際検査結果(輸出先当局のHPへのリンク)
https://www.maff.go.jp/j/yusyutu_kokusai/mizugiwa_kekka.html
・諸外国・地域への輸出に関する手続き・制度に関する情報
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_process/index.html
・植物検疫:輸出に関する情報
https://www.maff.go.jp/pps/j/search/detail.html#yusyutu
・動物検疫:日本から輸出される食肉等の受入れ状況一覧
https://www.maff.go.jp/aqs/hou/require/export_meat_list.html
(お問合せ先)
以下の農水省HPを御参照ください。
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_soudan
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以上、情報共有いたします。