一般社団法人
全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会
NEWS
2024.04.10

【農林水産省からの重要なお知らせ】EUの食品中ニッケルの最大基準値設定について


このたび、農林水産省よりお知らせがありましたので、下記ご案内いたします。

KKP戦略的輸出事業者 ご担当者の皆様
KKP戦略的輸出基地 ご担当者の皆様
輸出産地 ご担当者の皆様
(特にEU向けにコメ・コメ加工品を輸出している又は輸出することを検討されている方々)

EUにおいて、各種環境に係る規制を強化している動きがあるところですが、3月5日、EUがニッケルの最大基準値案(新規設定)についてSPS通報しております。

この最大基準値について、コメを含む穀類については2026年7月1日から適用されます(穀類以外は、2025年7月1日から適用されます)。
https://docs.wto.org/imrd/directdoc.asp?DDFDocuments/t/G/SPS/NEU734.DOCX

規則案原文はこちら⇒https://members.wto.org/crnattachments/2024/SPS/EEC/24_01827_00_e.pdf

規則案原文の付属別表(Annex)はこちら
https://members.wto.org/crnattachments/2024/SPS/EEC/24_01827_01_e.pdf

(食品中のニッケルの最大基準値案)コメ関係を抜粋
※以下の基準値案については仮訳であり、詳細な情報については、規則案の原文をご確認ください。

  食品
(Cereals (穀  類))
 基準値 (mg/kg)備考
コメ製品(玄米)を除く  1.5基準値は、ビールまたは蒸留酒の製造に使用される穀物には適用されない。ただし、製造後の残留物が食品として市販されない場合に限る。製造後の残留物が食品として市販される場合には、適用される。
玄米  2.0

【参考情報】

○   欧州食品安全機関(EFSA)が2015 年に食品及び飲料水中のニッケルに関するリスク評価を実施。今般、これを更新し、慢性毒性、急性毒性があると評価。

○   慢性毒性(妊娠の喪失)の耐容一日摂取量(TDI)を13 μg/kg/体重と設定。幼児、小児、場合によっては乳児において、このTDI を超過していると結論。子供に妊娠喪失のリスクはないが、神経毒性影響など子供に重要な毒性についても本TDIは保護的であるとして、子供の健康上の懸念があると結論。

○   重要な急性毒性についてはニッケル感受性の高い人における接触性皮膚炎であり、人口の15%に関係するとしてLOAEL を4.3 μg/kg 体重として暴露マージン(MOE)を用いて評価。平均ばく露量においても十分なMOE が確保されていないとして、ニッケル感受性が高い人に健康上の懸念があると結論。

○   国際がん研究機関(IARC)はニッケル化合物を「ヒトに対して発がん性がある(グループ1)」と分類。EFSA の評価では、ヒトのがんとニッケルの経口ばく露を結びつけるデータは入手できず、実験動物への経口投与による発がん性研究でも腫瘍は観察されなかったとして、食事によるニッケルへのばく露がヒトのがんを引き起こす可能性は低いとした。なお、今回の評価ではニッケルナノ粒子については考慮されていない。

○   リスク評価の結果を考慮し、EU は消費者の健康保護を確保するために食品中のニッケルの最大基準値を設定。

(国内の食品中のニッケルを巡る状況)

  • 日本国内では食品中のニッケルの基準値は設定されていない。
  • 当省は食品中のニッケルについての含有実態調査を実施しておらず、国産食品の最新の濃度分布は不明である。今後、EUへの食品輸出に際して検査を求められるなど、輸出において影響する可能性は否定できない。
  • 食品安全委員会は、平成24年に清涼飲料水中のニッケルの規格基準改正に係る食品健康影響評価を実施し、ニッケルのTDIを4 µg/kg体重 と設定。

なお、この評価では、経口ばく露での発がん性については判断できないとして、非発がん影響(皮膚炎)に基づいてTDIを算出している。また、飲料水からのばく露のみ評価しており、食品からのばく露評価が行われていない。

  • 厚生労働省の水道管理目標値では「ニッケル及びその化合物」について「ニッケルの量に関して、0.02 mg/L以下」。
  • ニッケルは植物の必須元素である一方で、肥料の公定規格において含有を許される有害成分の一つとして肥料中のニッケルの最大量を定めている。

なお、コメを輸出するために重金属・残留農薬等の分析が必要な場合(※)、令和5年度補正予算「コメ・コメ加工品規制対応緊急対策事業」にて分析費用の支援をしております。EUでは水際検査で基準値を超過したものが見つかった場合、アラートシステムで公表されるため、他国・地域への輸出にも影響が生じる恐れがありますので、EU向けにコメ・コメ加工品の輸出を行っている事業者の皆様におかれましては、積極的にご活用ください

詳しくは、全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会のHPにてご確認ください。
https://zenbeiyu.com/jp/topics/n20230428-copy

(※)以下のいずれかに該当する重金属・残留農薬等の分析を行う場合が対象です。
(1)輸出先国における重金属・残留農薬等基準値が日本国内の基準値より厳しい
(2)日本国内では基準値が設定されていない重金属・残留農薬等であって、輸出先国・地域では基準値が設定されているもの
(3)(1)及び(2)には該当しないが、日本国内の基準値より厳しい又は日本国内では基準値が設定されていないものについて、海外実需者の求めに応じて分析を行う必要がある

注)本事業は、戦略的輸出事業者又は戦略的輸出基地にご登録いただいている皆様のみご活用いただけます。輸出に取り組む産地のうち戦略的輸出基地にご登録いただいていない産地の皆様におかれましては、この機会にぜひ戦略的輸出基地へのご登録をお願いいたします。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/kome_yusyutu/kome_yusyutu.html#project

何卒よろしくお願い申し上げます。

農林水産省 農産局 農産政策部 企画課 米穀貿易企画室
中村、松田、松原
TEL:03-6738-6069
Mail:kome_yusyutu@maff.go.jp

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